「氷上回廊水分れフィールドミュージアム」が20日、リニューアルオープンしました。以前は、兵庫県丹波市立水分れ資料館だったのですが、改修されて新たに生まれ変わりました。地元の新聞記事はこちら。
このフィールドミュージアムの「氷上回廊のいきもの」コーナーの昆虫を横川 忠司(生きもの科学研究所・生きもの研究プロデューサー)が監修しました。
色んな意味で難しく、苦戦した部分も多かったですが、なんとか形にできて良かったです。8割くらいできてきたころに、「生物多様性コーナーが一気にワクワクする空間になった、感動した」と言ってもらえたのはすごく嬉しかったです。
でも今はまだまだ完成形ではなく、地元の方やイベントの参加者とともに作って変化していく展示になる予定ですので、ご興味がある方はイベントに参加されてみては。当研究所も今後もイベントなどで関わらせていただく予定です。
「水分れ(みわかれ)」とは、本州一低い中央分水界がある地名です。中央分水界とは、ここを境に北に降った雨は日本海側に、南に降った雨は瀬戸内海に流れる分かれ目です。
中央分水界は普通、山の稜線にあるので標高が高いのですが、ここは標高100mにも満たない場所にあります。そういうわけで、標高が高い山を越えられない生物(メダカなど)はここを通って日本海側と瀬戸内海側を行き来したことから、このあたりは「氷上回廊(ひかみかいろう)」と呼ばれています。
下の写真を見れば、氷上回廊(赤と黄色の色が付いた土地)が山より低い場所にあるのがわかりますね。
リニューアルしたこの博物館では、氷上回廊の成り立ちや地形、文化、自然などを、模型や映像、プロジェクションマッピングなどを使って、体験しながら楽しく学べる博物館へと生まれ変わっています。制作途中からほぼ完成する過程を見ていましたが、体験しながらわかるようになっているので、楽しく学べます。
氷上回廊の成り立ちや、ここを渡って南北に分布を広げた動植物を解説した展示もあります。目玉は、丹波市に生息していていましたが絶滅したと考えられているミナミトミヨの3Dスキャン模型ですね。絶滅してしまったのは残念ですが、模型でその姿を拝むことができ、実物より大きいので、より詳しく見ることができます。
ミナミトミヨのようなトゲウオ科の魚は、湧き水などまさに清流と呼ぶにふさわしい場所からしか見つからないことが多く、しかも湧き水自体が閉鎖的で他の水域とつながっていなかったりすることも多く、地域ごとに独自の進化を遂げていたりするようです。絶滅してしまった今となっては詳しく調べることが難しいですが、もしかしたら丹波市のミナミトミヨも他の地域のミナミトミヨとは違う部分があったかもしれませんね。
自然環境の良い場所にありますので、お近くに行かれる際には立ち寄ってみるのをおすすめします。年に20回ほどイベントをされる予定ですので、公式サイトをチェックして興味があるイベントに参加してみては。
氷上回廊水分れフィールドミュージアム
〒669-3464 兵庫県丹波市氷上町石生1155
開館時間:10:00~17:00
入館料 大人:210円 小・中学生:100円