昨日は、お招きいただいた、神戸市立六甲アイランド高校のSSH成果発表会に参加しました。
こちらの高校とは、5月にSSHの特別講義を担当させていただいたご縁で、今回の発表会を見させていただきました。
スライド発表(口頭発表)とポスター発表の2つに分かれ、3年生が各グループの研究成果を発表していました。それぞれのグループによって全然違うテーマで、面白かったです。教える方は大変ですけどね。
スライド発表
スライド発表は4つの研究テーマがあり、化学や生物の研究、海外研修の報告がされていました。発表は日本語と英語の両方がありましたが、司会はすべて英語でした。簡単な英語でわかりやすく説明されていると感じました。
とても良かったのは、どのグループも図や字が大きく、読みやすかったことです。後ろの席の聴講者のことも考えられていると感じました。
このように大きな文字にするためには、内容を整理し無駄な文字を省くことが必要ですが、これができていたということです。
残念に思ったのは、どのグループも結果の説明がかなり早いことでした。グラフを読んで理解するには、早すぎました。おそらく高校生にとっては着いていけなかったことでしょう。せっかく自分たちで取った貴重なデータなので、初めて見る高校生が理解できるペースでの説明を心掛けると、もっと良かったですね。
ポスター発表
ポスター発表は、19のテーマがありました。
時間の都合ですべての発表を見ることができないのは残念でしたが、運営上、仕方のないことかもしれません。いくつかの発表をじっくり聞かせてもらいましたが、ツッコミどころはたくさんあるものの、質問に丁寧にわかる範囲で答えてくれる姿勢には感心しました。また、アドバイスや意見を率直に受け入れる姿勢も大事だと感じました。
感想
六甲アイランド高校の研究で最も良いと思ったのは、研究が役に立つかどうかにフォーカスしていないところです。
各グループが興味を持ったテーマを研究していることが、学生の研究としてはとても大事です。
興味をもって、楽しみながら研究することで、自分の興味がどういうことなのか、なぜ興味を持ったのか、他の研究との違い(オリジナリティ)を出すためにはどうすればよいか、先行研究はどんな成果を出しているのかなどを深く考えることができ、また他の研究はどういうことに興味をもって進められているのだろうかといったことも自分たちの研究との比較で明らかになってきます。
役に立つことが悪いことではないし、企業などではそれが求められるのは当然ですが、役に立つ研究と優れた研究、素晴らしい研究は別ものであるし、企業などで求められる研究と、教育としての研究(あるいは趣味としての研究)の目的は異なります。
これを区別せず、よく考えずに「研究は役に立つべきもの」との思い込みはなくしていきたいですね。
教育として研究を行うのであれば、探究する過程、自分たちの結果から何が明らかになったのかを何度も問いただして考察し、そしてその結果を人に伝えるためにどういう風にまとめるか、が大事ですし、その過程で多くのことを学べるよう周りの大人たちは整備する必要があります。
話をもとに戻すと、役に立つことを強調していない研究発表会は少ないと思いますし、生徒さんたちにとってとても良いことですし、六甲アイランド高校の課題研究の特徴のひとつだと感じましたので、ぜひ続けていってもらいたいですね。