当研究所の成果が出ました。
それも大好きな クワガタでの 報告です!
月刊むしとは
月刊むしという雑誌は、プロアマ問わず昆虫好きが読んでいる月刊誌です。
発行しているのはその名も「むし社」。
昆虫専門の書籍や道具などを販売している会社です。
月刊むしはちょっとマニアックですが、昆虫好きなら誰でも知っているくらい有名な全国誌です。
多くの虫屋(昆虫好き)を育てている雑誌でもあります。
もちろん、私も中学生くらいから読んでおり、当時は知らない言葉もたくさんあり苦労しましたが、それ以上にワクワクしながら楽しみに読んでいました。
つまり、いつかは記事を書くのが憧れの雑誌でした。
コルリクワガタとは
今回 報告したコルリクワガタというのは、 あまり馴染みがないクワガタ かもしれません。
というのも、 よく知られている、夏に樹液に集まる大きくて 黒っぽいクワガタではないからです。
それに、飼育するのも難しい(一番の理由は高温に弱い)ので、一般に販売されることはありません。
コルリクワガタを含む ルリクワガタ属は、 春に活動し、ブナ などの 新芽に 集まり、 かじった新芽から出た汁を吸うという習性があります。
その名の通り、オスは瑠璃色(青~緑)の金属光沢をしていて、大きさも1cm程度の小さなクワガタです。
ルリクワガタ属が集まる 新芽は、 ブナの他にトネリコ類やトチノキ、 ミズナラなどの樹木です。
特に、ユキグニコルリクワガタ(秋田県、山形県、群馬県、新潟県、福島県、長野県などに分布)はこれらの 新芽に よく集まることが知られています。
今回の報告の内容
今回、ルリクワガタ属で知られていなかった、ミズキという樹木の新芽をかじって、吸汁しているところを、大木さんが観察し、撮影に成功しました。
実は、愛媛県と高知県だけに分布するタカネルリクワガタが、 このミズキに飛んできたのがわずかに観察されていたのですが、新芽の汁を吸いに来たのかどうかはわかっていませんでした。
今回の発見は、ルリクワガタ属がミズキの新芽をかじり、吸汁しているのを初めて報告したものです。
また、タカネルリクワガタでの観察では、 ブナやミズナラが 少ない 環境だからミズキに飛来したと考察されていますが、 今回観察したのは ブナもミズナラも 多い環境であり、 タカネルリクワガタでの 状況とは異なっていることも合わせて考察しました。
こういう詳細な考察ができたのも、現地でのしっかりとした観察と記録があってこその成果です。
大木さんとはオンラインでのやりとりだけでしたし、初めての投稿で何回も書き直しをしてもらって大変だったと思います。
でも、苦労以上に科学の進歩に貢献できた良い報告になったと思います。
こういう小さな積み重ねが科学にとっても大事ですし、新しい発見を見つけるつもりで普段から観察することで、普通なら見逃してしまうことも目にとまるようになります。
そして、それをきちんとした形で発表すると、未来の人にとっての財産にもなるのです。
貴重な記録が埋もれなかったこと、好きなルリクワガタ属の短報で考察まで書けたのも良かったです。
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ホンマでっか!?TVに月刊むしの編集長が出演 (2020年2月18日追記)
今週(2020年2月19日水曜)のホンマでっか!?TVに月刊むしの編集長、藤田宏氏が出演されるようです。
興味のある方はご覧になってみてください。